工業用電動機の効率的な始動: じか入れとスターデルタ方式の比較

回路

産業機械の心臓部ともいえる電動機は、その始動方法によって性能と寿命が大きく左右されます。この記事では、特に多くの工業分野で採用されている2つの主流始動方式、じか入れ始動とスターデルタ始動に焦点を当て、それぞれのメカニズムと実際の運用における長所と短所を解説します。

電動機の始動方式とその応用

電動機の始動方法には、様々な方式がありますが、一般的に広く用いられているのは、「じか入れ始動」と「スターデルタ始動」という2つの方式です。これらはそれぞれの電動機の特性や使用環境に応じて選ばれ、効率的かつ安全な運用を目指します。

じか入れ始動の概要

じか入れ始動は、もっとも一般的な電動機の始動方法で、電動機に直接定格電圧を加えて始動させる方法です。これは「直接始動法」とも呼ばれ、主に中小型の電動機で利用されます。始動時には通常の運転電流の5〜7倍の大きな電流が流れますが、小さい始動トルクを必要とする機器や、配電線への影響が小さい場合に適しています。

じか入れ始動

スターデルタ始動の概要

スターデルタ始動は、大きな始動電流を抑えるための方法です。この方式では電動機から6本のリード線を外部に引き出し、始動時には外部でスター結線を行い、その後でデルタ結線に切り替えます。この方法により、始動時の1相あたりの電圧は定格電圧の1/√3となり、始動電流はじか入れ始動の約1/3に減少します。しかし、その反面で始動トルクも1/3に減少するため、通常は37kW以上の電動機、特にポンプモーターのような大きな負荷を持つ電動機に適用されます。スターデルタ切り替えの時間は通常2〜3秒です。

スターデルタ始動

まとめ

じか入れ始動とスターデルタ始動は、それぞれ独自の特性を持ち、電動機を効率的かつ安全に始動させるための方法です。じか入れ始動は小型から中型の電動機に適しており、スターデルタ始動は大型の電動機での使用が推奨されます。始動時の電流負荷やトルクの要件を理解し、それに基づいて最適な始動方式を選ぶことが、エネルギー効率の良い持続可能な運用を保証する鍵となります。

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