基本公差とは?
基本公差は、全ての機械加工において基準となる公差のことを指します。
通常の機械加工の公差
恒温加工室のない通常の機械加工限度は、ほぼ 6級公差となります。5級以上の公差を指定しても、加工できない場合が多いので注意が必要です。
一般的な加工公差
一般的な加工公差は、7級以下を推奨します。6級以上の公差はなるべく指定しない方が良いです。等級を下げることで、加工時間の短縮とコストダウンが期待できます。例えば、以下のようになります:
- 780 (6級) – 0.10 ~ – 0.15
- 780 (7級) – 0.10 ~ – 0.18
幾何公差の加工限度
幾何公差の加工限度は、MES 6-6a に該当し、公差は 6級相当です。公差値の寸法範囲を細かく見る場合は、この表の 6級公差範囲を指定します。5級以上の公差を指定しても、加工できない場合が多いです。
例えば、基準寸法 230 ⊥ 0.01 A は ⊥ 0.03 A 6級(一般加工限度)となります。
ピッチ寸法公差の加工限度
ピッチ寸法公差の加工限度も、MES 6-6a に該当し、公差は6級相当です。
例:
- 呼び長さ 100mm の場合 6級公差 0.022 ±0.01
- 呼び長さ 700mm の場合 6級公差 0.050 ±0.03
硬質クロームメッキ後のバフ加工限度
硬質クロームメッキ後、バフ加工の加工限度は加工限度 公差 6級にメッキ厚さのバラツキ ±0.005 (直径で0.020)をプラスします。
- 長さ 1m以内 公差7級
- 長さ 2m以内 公差8級
- 長さ 2m以上 公差9級
ガス窒化及びタフナイト処理後の最終研磨加工
ガス窒化及びタフナイト処理で最終研磨加工しない場合は、加工限度 公差6級に寸法バラツキをプラスした公差にします。
- 単純形状 公差 7級
- 複雑形状 公差 8級
注意点
通常の機械加工(幾何公差・ピッチ寸法公差含む)の限度は、ほぼ6級公差です。5級以上の公差を指定する場合は、恒温室での加工等、加工できない場合が多いので、必ず生産技術に問い合わせることが必要です。
加工限度表
等級 | IT 5 | IT 6 | IT 7 | IT 8 | IT 9 | 幾何公差 | ピッチ寸法公差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
~6 | 6 | 9 | 15 | 22 | 36 | 0.01 | ±0.01 |
10~18 | 8 | 11 | 18 | 27 | 43 | ||
18~30 | 9 | 13 | 21 | 33 | 52 | ||
30~50 | 11 | 16 | 25 | 39 | 62 | 0.02 | |
50~80 | 13 | 19 | 30 | 46 | 74 | ||
80~120 | 15 | 22 | 35 | 54 | 87 | ||
120~180 | 18 | 25 | 40 | 63 | 100 | 0.03 | ±0.02 |
180~250 | 20 | 29 | 46 | 72 | 115 | ||
250~315 | 23 | 32 | 52 | 81 | 130 | ||
315~400 | 25 | 36 | 57 | 89 | 140 | 0.05 | ±0.03 |
400~500 | 27 | 40 | 63 | 97 | 155 | ||
500~600 | – | 44 | 70 | 110 | 175 | ||
630~800 | – | 50 | 80 | 125 | 200 | ||
800~1000 | – | 56 | 90 | 140 | 230 | 0.07 | ±0.04 |
1000~1250 | – | 66 | 105 | 165 | 260 | ||
1250~1600 | – | 78 | 125 | 195 | 310 | 0.11 | ±0.05 |
1600~2000 | – | 92 | 150 | 230 | 370 | ||
2000~2500 | – | 110 | 175 | 280 | 440 | 0.13 | ±0.07 |
2500~3150 | – | 135 | 210 | 330 | 540 |
この表を参考にして、適切な公差を設定し、効率的でコスト効果の高い機械加工を実現しましょう。
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